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爆発とアクションをこよなく愛す映画オタク(Geeksman)の2人が 映画について語らうオタクブログ

映画「ルーム」の「へや」は一体なにを隔てているのか。





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普段アクション映画や、どれだけ人がモリモリ死んだかが面白さの指標になっている僕が、何故か全く人が死なない・全く爆発しない・全く戦わないの主観的つまらん三拍子が揃った映画「ルーム」観て、「面白いな…。」と感じたのが自分でも意外だったので少しこの映画について考えたことを書きたいと思います。




予告編↓




学生時代に男に拉致され「へや」に七年間監禁されたジョイと、「へや」の中で生まれてずっとそこで育ってきた息子のジャック。週に一度、男が差し入れをしに入ってくるのと部屋の中にあるテレビで部屋に無いもの観る以外は外界との繋がりは完全になく、部屋の壁は二人を外と完全に隔てています。







ではこの「へや」の壁が隔てているのは何なのか?勿論、先ほど述べたように中と外での世界を隔てているのは自明です。それ以外にもあります。それとは別に、言葉の認識の壁になっていると感じました。「世界が隔てられたらそんなん当然だろうタコ!リアンユー島に取り残してやろうか!」なんて厳しい意見も聞こえてきそうだし、それはそうなんですがお願いします、ブログもうちょい書かせてください。







言葉にはコミュニケーションツールの他に物を認識するための道具としての機能があります。さらに言葉を使うことで我々はそこに無いものを伝えたりすることなんかも出来ちゃいます。
身の回りの物にはほとんど名前がつけられており、それを言葉を使って認識し、言葉によって人々はその認識を共有しています。







テレビの助けもあってジャックは部屋に無いものもたくさん知っていました。しかし劇中でジャックは「ホンモノ」「ニセモノ」と言います。ジョイは監禁されるまで外で生活していたため言葉による認識は部屋の外と同じですが、外に出たことがないジャックにそれは理解しがたく、母親が部屋の外についてなど本当のことを話すと「嘘」だと言って受け入れられませんでした。







かの有名なあのヘレンケラーは「ウォーター!!!!!!!!!!!!!!!」と水を認識して彼女の中の世界に 水/水以外 という秩序が生まれました。部屋の中にいたジャックは言葉こそたくさん知っていますが、外の人々とこの秩序にめちゃくちゃ差があるのです。




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ジャックにとって空は天窓から見える四角く切り取られた小さなものでしたが、始めてジャックが部屋の外に出たとき広々とした空に圧倒されている様子が描かれていました。この瞬間、ジャックの空というものの認識が「へや」の外へ出たのです。そうやって部屋の外へ出たあと、ジャックの認識も外へ出ていったと言えます。







ジョイは監禁される前に外で過ごしていたため言葉の認識はほぼありません。しかし、劇中でそういう描写はなかったと思いますが、監禁されていた七年の間に生まれた、まるでみたことの無いものに対してはジョイにも認識のズレが生じているでしょう。そんな感じで「へや」は言葉の認識を遮る壁になっているのです。







以上!














今年上半期はヘイトフルエイトから始まり、ルーム、そして六月公開の10クローバーフィールドレーンと、密室がアツいと個人的に思ってます。







余談ですがルームは、部屋着のブリー・ラーソンがなかなかエロかったのが偉かったですね。